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ナイバシャ湖へ向かうはなし [ケニア旅行]

12月28日7:00、アンボセリのロッジを出発。
次の目的地、ナイバシャ湖を目指す。

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さようなら、ゾウの楽園。

おでらを乗せた、サファリカーは砂埃をばふばふ舞いあげて、
広大なアンボセリ国立公園を通り抜け、
行きに通ったのと同じ、でこぼこ舗装の混沌道路に出た。

がたがたがたがた、
車の揺れに合わせて、お腹周りの贅肉がぶるぶる揺れる。
これは、ひょっとするとスポーツジムのブルブルマシンてきな、
脂肪燃焼効果があるかもしれない!
しようもないことを考えて、恐怖を紛らわせつつ、
とても静かなところだという、ナイバシャ湖へと運ばれていく。
イメージは仔牛、名曲『ドナドナ』の。

5時間の長距離ドライブ。
毎度のことながら、怖かったのは最初だけで、いつのまにか居眠りして、
休憩しましょうと、ドライバーさんが車を止めたところで目が覚めた。

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安全な店で。

「ふろむ、じゃぱん?」、
派手めのお洋服を着た、小柄なおじさんが近づいてくる。
「いえす、ゐ、あー、じゃばにーず」、
「コンニチハ」、
破顔、という表現がぴったりのでっかい笑顔。
「オミヤゲ、ミテミテ」、
おじさんには、なんとなく寄席芸人の風情がある。
なんだか、おもしろそうだ。
おでたちは芝居小屋っぽいと言えなくもない、薄暗い店内に入っていった。

「ケニア、ハジメテ?」

ケニアの人が日本語をしゃべると、スワヒリ語に聞こえる。
たぶん、発音が似ている。
だからスワヒリ語ネイティブのひとに、日本語は簡単なのだと思う。

「ヨウコソ、ケニアヘ」

言った後の、「やった」といった、満足顔がツボにヒットして、ぶほっ(爆)となる。
笑っているおでたちを見て、おじさんは「つかみはおっけー」←古い、とばかり、
商品をつぎからつぎへと持ってきた。

じつは、前回の「安全な店」でも、土産物を売っていたのだけれど、
伝統的な木彫りはどれも、リアルで立派すぎて、
床の間に置くのが似合う、雰囲気。
好みじゃないんです、ごめんなさい、と何も買わずにでてしまった。

ここの商品もそれとほぼ同じだが、
置物を持ち上げて、「ライオン」、「カバ」、「ゾウ」、
いちいち説明してくれる、おじさんの様子がいちいち可笑しくて、
何か、なんでもいいから買いたい気持ちになってきた。
だけど、欲しいモノがない。
「困ったね」、おとっつあんと顔を見合わせていたら、
おじさんはお値段を気にしていると思ったらしい、
「ヤスイ!シンパイナイ!」、
心配ない、が、逆に怪しいよ、わはははー。
笑わせていただいたので、絶対なにか買おうと決心し、
ようやく、やや好みだと言える、小さい木彫りの動物シリーズを見つけた。

「ネゴシエイト」、交渉、という日本語は知らなかったらしい。
おじさんは、ポケットからメモ帳とペンを取り出して、希望の金額を書けと言う。
「お先にどうぞ」、おとっつあんがおじさんにペンを返すと、
んー、と考えたポーズをしてみせて、
おじさんが書いたのは、75。
75USドル。
おでは5ドルくらいだろうと思っていたので、驚きのあまりゲラゲラ笑ってしまった。
「高すぎるよ、バイバイ」、手を振って帰るふりをする、おとっつあんに、
「待って、あなたの希望はいくら?」、ペンを握らせる。
おとっつあんが書いたのは、10。
信じられないという顔をしてみせる、おじさん。
これでどうだと、30を書く。
11、とそれに返し、25が帰ってきた。
首を振って、「残念だけどお別れだね」、と店をでる。

「あれはどう見ても5ドルだと思うね、おでは」、
話しながら、店の外で一服していると、

「マイフレンドー!」、
おじさんがメモ帳を持って、走ってきた。
「ボスには内緒で、これでどうだ」、書いたのは、15。
おーけー、と握手をして、交渉成立。

おじさんに手を振りながら、
「でも、これって絶対5ドルだよね」
おではまた言ったが、
「楽しかったからいい」、おとっつあんは笑っていた。

後日談。

帰りのナイロビ空港で、全く同じものが売っていた。
お値段は、やっぱり5ドル。
「おじさん、いい商売したね」、
おでたちはもう一度笑わせてもらった。
15ドルは、適正価格だったと思う。

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全部で、15ドル。

(つづく)
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柴犬陸

おじさんのカタコトのニホンゴとか、駆け引きとかをひっくるめて、15ドルだもんね。
たしかに適正価格だと思う。
by 柴犬陸 (2011-01-14 10:12) 

きむたこ

楽しい駆け引きがなかったら、
このクオリティでは3ドルが適正価格でしょう。(笑
ほんとにボスがいるのかいないのか怪しいけど、
ほんとにボスがいて、でも、ボスに全部渡すんじゃなくて、
そのおじさんのポッケにふっかけぶんはいる気もするけど、
そんなところが笑えるアフリカ☆


by きむたこ (2011-01-14 10:59) 

いちご☆

私も 遠い昔 北京に住んでいた
  そして 中国語を学んだ
    主人は こう言った
      「その発音で 通じているのはすごい」

通じているのは 自由市場での 駆け引きの中国語
  あの時から だいぶ経って 中国語を忘れた
    でも この間 中国に行ったとき
      なぜか 自由市場では 中国語を話した

だって 主人は 強気なようで 押しが あと一歩
  そのいらいらした気持から 忘れていた中国語が
    よみがえった
      そして こう言った

「そんなの高い じゃあ 要らない」
  そして おじさんのように 相手も言った
    「じゃあ その値段でいい」

やっぱり 買い物は 女性の方が 向いている





久々のポエム風で
by いちご☆ (2011-01-14 14:20) 

よっきー

↑ 確かに。
オトコは値切れない動物。
オンナは自分の物じゃない買い物は言いたい放題。

これを見るたび思い出し笑いが出来るなら、高くはないわね。
by よっきー (2011-01-14 16:57) 

masiko

笑ったオマケだと思えば適正価格だね。

by masiko (2011-01-15 07:54) 

kiki

今回の話が私は一番好き♪
夫と話してうちらも笑った
しかもその木彫り達も結構好み
筆でテキトーに描いたようなのもいい
いい買い物だったね♪
by kiki (2011-01-19 15:05) 

misso

柴犬陸さん>おじさんの魅力が14ドルで、商品は1ドルかもしれないw
宿泊したロッジでも、日本語を話したがるスタッフが結構いて、
ちょいちょい日本語でご挨拶しました。
お返しにスワヒリ語を教わったりして、楽しかったですー。

きむたこちゃん>確実にボスはいないw
でも、おじさんはかなり愉快な人だったので、笑えてよかった。
いや、実は、笑えない店もなくはなかった(-_-;)
ちっさいキリスト誕生場面の人形があって、ちょっとかわいかったので、
お値段聞いたら、150ドル・・・。
おでは、2ドルくらいだと思ったのに。
5ドルでどうだって言ったら、100ドル以下にはまからないと。
買うわけないじゃん。
でも、かわいかったので悔しい。

いちごさん>では、おでも久しぶりのポエム風で。
買い物に 燃えるのは おんなの性か
あとで 思えば すこしの 違い
だけど むきにならずに いられない
1円だって 得したい
損は ぜったい したくない
たとえ 夫婦げんかになったって
ああ それは ゆずれないのよ 
だって おんなの性だもの
(演歌調で)

よっきーさん>おとっつあんは値切るのが大好きなのですが、
あまい。
つか、値切る行為そのものを楽しんでいるだけなので、
よくない。
おでは「いいものを安く買う」ハンターの目で見ているので、
おとっつあんとはそもそもの動機が違う・・・。

ましこさん>かなり笑わせていただいたので、まあ、いいです。
って、この言い方に、なんか不満がありそうだけどw

kikiさん>笑ってもらってよかった。
kikiさん宅にも笑っていただいたってことで、1ドルアップだw
おでもこの木彫り、だんだん気に入ってきた。
雑な作りが逆にかわいく思えてきたよ。
いい買い物だったみたい♪
by misso (2011-01-20 06:40) 

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