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マサイ族の村のはなし [ケニア旅行]

旅行中、たびたびマサイのひとに会った。
ケニアにはネイチャーガイドとして働いている、マサイのひとが少なくない。

アンボセリのロッジには、マサイ族の25歳、「ケリカくん」がいて、
会えばかならず、すこしおしゃべりをした。
今日のゲームドライブはどうだった?とか、他愛もない内容だけれど、
赤い布を着て、成人の儀式のために抜けた前歯の、
遠い世界に住むひとと話すのは楽しかった。

夜、ロッジの庭で催された、
ケリカくんプロデュースのマサイのダンスは格好よかった。

最初、彼らは姿を見せない。
たき火のむこうの、真っ暗な木陰から声だけが聞こえる。
ヒーヒーーーヒーーヒーーー
そのきーんと高い音は、人の声とは思えない。
右の方から、左の方から、なんだか、後ろからも聞こえる気がする。
どこにいるんだろう、と、すこし怖くなった頃、
ジャンプしながら赤い衣装のマサイダンサーズが登場。

最初のダンスは、歓迎の踊り。

CIMG2705.jpg
ケリカくんの解説で、知る。

マサイの男の魅力はジャンプの高さで決まるそうだ。
「ジャンプ競争の踊り」で見た、ジャンプは確かにとても高い。
皆で一列に並んで歌を歌うなか、ひとりずつ前に出てジャンプしてみせる。
しかしながら、むき出しの脛のとんでもない細さにばかり目がいってしまい、
ジャンプが高いからといって、ステキだ、とは思わない。
おではマサイの女でないので、しかたないことだ。

CIMG2707.jpg
ジャンプを写したら、ぶれるのも、しかたないことだ。

そんなちょっとした、マサイ族との交流で、じゅうぶん満足していたのだが、
最終日におでたちは、マサイ族の村を訪れることになった。

昼食後マサイマラから直接ナイロビ空港へ向かったら、
深夜のフライトまで時間がありすぎる。
「もし、興味があるんだったら、マサイの村にでも行きますか?」
という、ドライバーさんの提案だった。
「もし、興味があるんなら、ですよ。」
付け足したのが、すこし気になったのだけれど。

「写真は自由に撮って構いません。
私が村を案内します。
まずは、若者たちによる歓迎のダンスをご覧ください。」

酋長らしきひとは流ちょうな英語で言った。
木陰で寝そべっていた、若者たちに何か言うと、
あちこちに散らばってごろごろしていた、若者がぞろぞろと集まってきて、

IMG_1267.JPG
めんどくさそうに「歓迎のダンス」を踊ってくれた。

「では、村の中に入りましょう」
木で作った、柵らしきものの中に入っていく。

IMG_1269.JPG
「これが、村です」

「家は、牛の糞でできています」
なるほど、先ほどからのかぐわしい香りは、うしのふんか。
村に入ったとたん、ハエがすごかったのも、そのせいだと思われる。

暑い日だったので、家の外にでて木陰でみんなごろごろしている。
女性ばかりだ。
マサイ族は一夫多妻なので、女性がたくさんいる。
子どもも多い。

「女たちが歓迎の歌を歌います」
酋長らしきひとが言い、集まってきた女性たちが、

MVI_1272.jpg
めんどくさそうに「歓迎の歌」を歌ってくれた。

「家の中をお見せします」
酋長らしきひとは、近くの家に入っていく、
おでもその後を追わねばならないのだが、
入り口に巨大な蜘蛛を発見し、足が止まる。
そっちを見ないようにして、えいやっと思い切って中に入れば、室内は真っ暗。
やけに、蒸し暑い。
それもそのはず、入り口しか通気できないのに、

IMG_1274.JPG
竈でごはんをつくっていた。

酋長らしきひとは木の椅子に腰をおろして、おでらにも座れと言う。
そして、説明を始めた。
夜は、各戸一頭ずつ、家畜を家にいれること、
マサイは遊牧民なので、移動の時は家を壊して、またイチから家を建てること。
話しを聞く、おでの顔に尋常じゃない数のハエがたかる。
竈のちかくに、ひとがいるのがうっすら見えるが、何人いるのかわからない。
さっき、ハローと言ったときも、お返事はなかった。
ハエを追い払いながら、おはなしを聞くのだが、とにかく蒸し暑い。
早くここから出たい、と思い続けていたせいか、
酋長らしきひとのおはなしは、とんでもなく長く感じられた。

やっと家から出ると、若者数人がやってきて、突然、何かはじめた。

IMG_1277.JPG
「火をおこします」

マサイの村では、マッチやライターは使用禁止なのだという。
火を使うときは、かならずこうして、火をおこす。
手慣れた様子で木を摩擦すると、あっという間に煙があがった。

IMG_1278.JPG
「できました」

拍手をしながら、
ネイチャーガイドとして働いていたマサイのひとたちを思い浮かべていた。
近代的なロッジで旅行者と交流し、時々、車を運転したりもしていた。
それでも、マッチやライターは禁止、ってのは、厳しい掟だと思った。
世界のひとが皆マサイ族ならともかく、i-phoneでネットができる時代に、
それを横目で見ながら、火をおこす生活におでは耐えられない気がする。

「50USドル」
は?
考え事をしていたら、酋長らしきひとは自分の腕に木の枝で「50」と書いていた。
黒い肌を枝でひっかくと、黒板にチョークで書いたような白い文字が書ける。
先ほど実演してくれた、火おこしの道具、あれを50ドルで買えというのだ。
やっぱり、そうきたか。
おではちょっとうんざりした。
国立公園のゲートでは、いつもマサイのひとがモノを売りに来ていた。
停まっている車の窓をたたいて、ガラス越しに商品を見せ、
1ドル、1ドル、などと言うのだが、これがなかなかしつこい。
無視しても、窓をこつこつ叩いてくる。
マサイの村に行けば、何か買わされるのだろうと、実は覚悟していた。

しかし、火おこしの道具を売ってくるとは。
絶対いらない、と思ったが、まあ、買わざるを得ないのだろう。
それでも、30ドルにまけてもらって、
結局、まあ、買わざるを得なかったわけで。
踊りに使う、オリーブの木でできた棒をおまけにつけてくれたけど、
それは、火おこしの道具に輪をかけて、絶対絶対いらないわけで。

IMG_1289.JPG
でも、これもいい思い出、かな。

(おしまい)
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よっち

わぁキレイな空だねー。

めんどくさそうに「歓迎の歌」w
歓迎されてないのか?w

火おこしの道具、私に売って~。
キャンプで、火もおこしたくてね。
あ、オリーブの棒は私もいらないですけどw

あーなんか、会って話したいわー。
ケニアの話、超、面白そう。


by よっち (2011-01-28 00:55) 

misso

よっちさん>空、星空がめちゃめちゃきれいでしたー。お写真はないけど。
若者ってやつは、いつもめんどくさいもの、かもねw
いや、女性たちもめんどくさそうだったので、
マサイのひとは、いつもめんどくさそうなのかもしれない。
火おこしの道具、ホントにいります?送りますよ、ホントにw
あ、でも、おとっつあんに要確認だな。意外と気に入ってるかもしれないw
あー、おでも会って話したいなー♪とことんしょうもない会話を延々したいw
by misso (2011-01-28 08:53) 

きむたこ

買ったのね・・・。
ウン、これもいい思い出だ☆
マサイ村、噂通りだったわ。
これね、観光用にやっているってすぐわかっちゃうよねぇ・・・。
でも、それも、アフリカ。
これもいい思い出だ☆
きむたこの泊まったホテルでも、
夕食にマサイのジャンプがあったんだけど、
そのホテルに泊まっていたのが、
きむたこと自由人たった2人で・・・。
暑かったけど、寒かったです。
これも、思い出・・・。(・_・)
by きむたこ (2011-01-28 09:31) 

masiko

火を起こすチョット前くらいから
みっそさんの文章が長く感じられた。
by masiko (2011-01-28 17:13) 

柴犬陸

ドライバーさんはその辺の事情を知ってたんだね。
それとなく伝えたつもりだったのかな?
まぁ、こういうことは海外旅行にはつきものということで。
火おこしの道具、どこかで使えるといいね。

by 柴犬陸 (2011-01-28 22:36) 

kiki

おぉ!こーゆー体験ってテレビ番組の芸能人レポーターだけだと思ってた。
missoちゃんも芸能人の仲間入りだね〜

by kiki (2011-01-29 07:42) 

いちご☆

どこでも あるんだね~~ そんなこと

考えようによっては そうやってやらなくて
生きていけるだけ 私たちは 幸せなんだろうね
by いちご☆ (2011-01-29 15:34) 

旅爺さん

マサイ族は有名なので一度は行って見たいです。
ビクトリアの滝も見たいしね。
by 旅爺さん (2011-01-29 17:50) 

misso

きむたこちゃん>毒舌なレスを書いたら、
なんかのミスでぜんぶ消えた~。いっぱい書いたのに~。
そういったわけで、黒ミッソのマサイ族批判はやめにしてw、
すべてはいい思い出だ、ってことで。
ちゃんちゃん♪

ましこさん>長かったか!と慌てて無駄な文章を削ったけど、
もしや・・・、
これは「ましこさんもマサイの村を早くでたくて」文章が長く感じられた、って意味?

柴犬陸さん>行ってみなきゃ、何も知らずに終わっちゃったわけで、
何事も経験ですね、行って良かったです。
踊り用の棒は、ときどき肩たたきとして使ってますw。

kikiさん>そうか、おでも芸能人のなかまいり・・・、って、なんで?!(笑)

いちごさん>ところがマサイのみなさんは、日本人よりむしろ幸せそうなのです。
観光客に金をせびるのを、恥ずかしいとは全く思ってないようで、
楽しげにカネクレクレ言ってた。
世界は広いっすね、自分のものさしで測れないことがいっぱいあるね~。

旅爺さん>アフリカにはいっぱい絶景ポイントがありますねー。
行くのが大変だけど、それでも行く価値はあるんでしょうねー。
by misso (2011-01-29 19:58) 

りうと

村人全員がスーパーモデル級の体型なのでは......?
私ももう少しでいいから頭部を小さく、足を長細くしたいです。
by りうと (2011-01-30 00:25) 

よっきー

こういう暮らしに憧れないこともない。
…が、流暢なエイゴ、というのが気にかかる。
by よっきー (2011-01-30 13:52) 

misso

りうとさん>そう、みなさん、手足がめちゃ長かった!
スーパーモデル級、と、いえる!w
私は体幹部をひきしめて、ヒップアップして、腰のイチを高くしたい、
けど、生まれ変わりでもしなきゃ、無理ですな。

よっきーさん>こういう暮らし、おでは無理ー。
マサイの村に生まれたら、脱走すると思う。
あの英語はどうやって勉強したのか、
あと、車の運転してたひとはどうやって免許をとったのか、
役場に住民登録してるのか、などなど、マサイ族のなぞはいっぱいですw。
by misso (2011-02-01 00:00) 

二兎丸

きっとね、大震災みたいのが来たり、
地球滅亡の危機に瀕したりした時に役に立つんだよ、コレ。
その時、民はmissoちゃんが救いの女神様に見えるんだよ。
by 二兎丸 (2011-02-06 09:06) 

misso

二兎丸さん>すげえ!!!!
おでが地球を救うのか?この棒で!
・・・いや、これじゃ地球は救えねだ。
by misso (2011-02-09 02:15) 

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