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修行がたりない [三味線]

日独交流の会に参加している。

毎月、みなさまのすてきなお宅にお邪魔して、
すてきなお食事とすてきな会話を、楽しむ会。

お腹いっぱい食べて、わははと笑って、
さらにはドイツ語会話の勉強にもなるという、
そりゃもう、すばらしい会なのだが、
ひとつ、盲点があった。

いつか、おでんちにもみなさまをお招きせねばならない。

まだまだ先の話と思っていたが、光陰矢のごとし、
先日、ついにその順番が回ってきた。

すてきなお料理を作る自信は、ない。
すてきな会話をする自信も、ない。
ないん!(ミッソ豆ドイツ語:ないん=NO)

しかし、おでは不敵に鼻くそをほじっていた。

だって、おでには三味線があるじゃ~ん。
三味線は見た目がかっちょいいから、ドイツ人、ぜったい喜ぶじゃ~ん。
猫の皮でできてる、って説明したら、ぜったいビックリじゃ~ん。

焼けないケーキは、日本人の友人たちが持ってきてくれるしさ~、
お料理もてつだってくれるしさ~、
おもてなしは、みんながやってくれるしさ~、

↑このような、おでの態度を振り返り、気持ちは早くも反省モードに入ってきた。
それもいささかメランコリックな反省モードに入りつつあるが、
もっと激しく反省しているはなしに、まだ言及していない。
ダメ話は、まだ、つづく。

さて、当日。

期待通り、友人たちのヘルプはすばらしく、
ヘルプ、っつか、全部やってもらっちゃった、みたいな(←反省)、
しかしそのおかげで和やかに楽しく会はすすんだ。

よかった、よかったと安心し、
ほいじゃ、ちょこっと三味線でもひきますかね、
『岸の柳』の冒頭をチチチン、と弾いて、おでは、
ぎゃぼーーーー!!、と、なった。

すんげえヘタだった。

「人前で弾くのは、よい修行になる」

とは、師匠のおことばである。
人前で弾くと、いつもよりヘタになる。
稽古場で弾いたって、自習のときよりヘタになる。
でも、それが本当の実力。
ショックだけど、それを知るのは大事なことだ。

ずっとひとりで練習しているおでは、いわば、
「人前では見せられない、哀川翔のモノマネ」を稽古していたようなもの。
うっかり人前でやってしまった、モノマネはたいがい似ていない。
そういうことだ。

人前で披露できるモノマネのレパートリーが欲しい!、
いや、いや、長唄の曲が欲しい。
「ミッソは修行がたりまセン。もっと練習するんデス。」
のだめのモノマネで、決意の2010年秋。
今後は人前で弾く機会を増やす、努力もしないとね。

あ、おもてなし上手になる努力もします。
ついでみたいに、言っちゃったけど、ホントだよ。

(おしまい)

大薩摩問題 [三味線]

心配ごとがあります。

はたして外国人に「大薩摩」が理解できるだろうか、
ということです。

おでは大薩摩の長唄「鞍馬山」を目下、練習中です。
窓を閉めてはいますが、たぶんお外に音がもれていると思われます。

ヘタすぎる、というのが問題の大きな要因ではありますが、
たとえおでが、兆スーパーテクニシャンだったとしても、
外国人に大薩摩はどうだろうか・・・、と思うのです。

おでは大薩摩ファン、LOVE OZATSUMA、ですが、
そういうひとって、たぶん、日本でも稀ではないかと。
そもそも、今これを読みながら、
「大薩摩ってなに?」、と、思っているかたも少なくないのではないか。
そういうおでも三味線を始めるまでは、全く知りませんでした。

ご参考に、おでが弾く大薩摩の一部をアップします。



ちなみに、もう一度いいますが、おでは兆ヘタです。
ですから、「これが本当の大薩摩だと思ってはいけませんよ」、と八寸釘をささせていただきます。

我がご近所さんは、これを聞かされているのです。
くりかえし、くりかえし、やっと終わったと思ったら、またくりかえしのくりかえし。
かわいそうに。

「なんてすばらしい音色なんだ、う゛んだばー!」
(ミッソ豆ドイツ語:う゛んだばー=すばらしい)

と、思っている可能性もなくはありませんけれども、
これで「う゛んだばー」は、たぶんないでしょう。
「楽器の調律をしてるのかちら?」
とでも、思っていてくれればいいのですが、
ことによると、
「まじない?」
と、気味悪く思っているかもしれない。

ごめんね、ご近所。

謝罪の気持ちをウェブ発信したら、すこしこころが軽くなりました。
では、また明日からはりきってお稽古いたします。

(おしまい)


※コメントを今回から受付承認後表示にしました。

サボる理由 [三味線]

みんな、もう忘れてしまったかもしれないが、
おでは三味線修行中である。

しかし、このところずーっとずーっと、ずーっと暑いので、
お稽古が滞りがちであった。
それでも、暑いから仕方ないとはなかなか割り切れず、
サボる自分を、簡単には許せない。

だが、自分をきらいになるのはよくない。
そこで、「お稽古を休むのは三味線のためだ」、と考えた。

三味線に張られている皮は湿気に弱い。
猛暑のさなか、三味線を弾いたら汗まみれになり、
皮がぬれてしまう。
それが原因で皮がやぶれたら、三味線はおしゃか。
おでは、悔やんでも悔やみきれない。
だから、お稽古は休止すべき。

そういったわけで、大いばりでさぼっていたのだが、
昨日は、気温が低めでいささか過ごしやすかった。

これならいける、と久しぶりに長時間お稽古をし、
気持ちのいい汗をかき、おっといけねえ三味線をよく拭かなくちゃと、
ごしごし拭いて、はー、と一息ついて、
はっとする。

暑さを理由に放置しているものが、ほかにもありゃしねえか。

ちらっと脇をみれば、

CIMG2476.JPG
カーテンのない、窓。

納戸に隠してある、

CIMG2477.JPG
イケアで買った、カーテンレール。

さらに、

CIMG2479.JPG
カーテンレール取り付け用に、友達が貸してくれた、ドリル。

そして、

CIMG2480.JPG
カーテンを縫うために借りた、ミシン。

カーテン代わりにシャッターを下ろしっぱなしの窓を見ながら、
おでは焦った。

自分をきらわずにすむ、いいわけを早く考えなくては、と。

(おしまい)

リピートするはなし [三味線]

脳内で「おちゃらかおちゃらかおちゃらかほい」の唄が流れ続けて困る、
という知人のお悩みを聞いた。
彼女はコーラスグループで目下、「おやらかおちゃらかおちゃらかほい」の唄を練習中なのだ。

「あはははははー。
よりによって、おちゃらかおちゃらかおちゃらかほいって、あーた。」

げれげら笑いつつも、曲がおちゃらかおちゃらかおちゃらかほいだけに、
さぞかし気持ちが悪かろうと同情し、
おちゃらかおちゃらかおちゃらかほいがすぐさまこのひとの頭から消えますように、
と優しいことを思ったりした、のは、昨日のはなしだ。

そしたら、今朝、
「おちゃらかおちゃらかおちゃらかほい」はおでのところへきてしまった。
振りつきで。
「おちゃらか勝ったよおちゃらかほい」のときは、
勝ったポーズのアニメてきなものが一緒に頭に浮かぶ。
「負けたよ」のときは、うそ泣きポーズで、
「あいこで」のときは、
モンキーダンスのように両手を上下に激しく振るアニメが流れるのだが、
これは、あいこのときにはどんなポーズだったっけなあと、
昨日、知人の話を聞きながら、
頭の中でモンキーダンスを想像したのが、脳に焼き付いてしまったらしい。

めっちゃ気持ち悪い。

すぐさま、おちゃらかおちゃらかおちゃらかほいを頭の中から追い出さねば、
と、おでは三味線を弾くことにした。
長唄にはおちゃらかおちゃらかおちゃらかほいなどは足下にも及ばない、
脳内リピート率が高いメロディーがいっぱいある。

まずは、「してこいな」VS「おちゃらかおちゃらかおちゃらかほい」。
「してこいな」とは長唄「供奴」の唄いだしで、
「してこいな~」という軽快な歌声につづいて、これまためちゃ軽快な三味線がつづく。
一日に二回も弾けば、寝るまで頭の中に流れ続ける、悪魔のメロディーだ。
「してこいな」パンチが顎にヒットしてクラクラ気味のちゃらかおちゃらかおちゃらかほいに、
間髪入れず、次の「チンチリレン崩し」を送り込む。
「チンチリレン崩し」VS「おちゃらかおちゃらかおちゃらかほい」。
「チンチリレン崩し」は長唄「藤娘」の間奏で、
歌詞はないが、その耳に残るメロディーは、たとえ寝ても夢に出てくるほどだ。
「チンチリレンチンチリトチチン~」と口三味線を声に出しながら弾けば、
布団に入ってもなかなか眠つけず、たばこを吸って、さらに強めのお酒をちょこっと飲んでこないと、
まさかの朝まで眠れないほどの破壊力をもつ。

どーじゃ、まいったか、おちゃらかおちゃらかおちゃらかほいめ!

おちゃらかおちゃらかおちゃらかほいはダウン、ダウンですー!というわけで
長唄の圧勝でおちゃらかおちゃらかおちゃらかほいは消滅しました、とさ。
しかし、カンのよろしいかたはお気づきでしょうが、
おちゃらかおちゃらかおちゃらかほいをブログのネタにしちゃって、
おちゃらかおちゃらかおちゃらかほいを連発しちゃった結果、
帰ってきちゃったみたいなんだよねー、おちゃらかおちゃらかおちゃらかほい。

やー、おちゃらかおちゃらかおちゃらかほいもなかなかやるなー。
さすがだねー、すごいねー。
あっ!もし、おちゃらかおちゃらかおちゃらかほいに三味線で伴奏つけたら、天下無敵だよね!

って、絶対やんないけど。

(おしまい)

なんか、もう満足しちゃった、みたいな。 [三味線]

初舞台は終わりました。


「序盤、緊張しているのがはっきりわかった」、

見に来てくださった、義父はいいました。

「目がおかしな方角を見ていて、おいおい、と思った」、

長野からはるばる来てくれた、兄がいいました。

最初の目つきは、やばかったな~」、

数年ぶりに会った、従兄がそれを受けていいました。

着物がきれいだった

友人は三味線以外のことを褒めてくれました。


初舞台の演奏は、「まあ、こんなもんか」と言えなくもないし、
「もうちょっと、うまく弾けるのにー、あー」と後悔しなくもない、
…ってな感じの出来でした。
誰もが「やばかった」と指摘していたように、最初にちょっと失敗。

言い訳します。

以前、文楽三味線の方が、
「舞台で最初に見た場所から目線をそらさずに弾かなくてはいけない」
と、話していたのを舞台袖で突然思い出し、
そうしよう、と決心して舞台にあがったのがいけなかったのです。
幕があがり、最初に見たのは、
なんか、ものすごく、うえのほうでした。
そのまましばらく弾いていたのですが、途中で気がつきました。
無理だと。
それはプロのひとがやることで、おでは手元を見てもいいから正確に弾くべきだと。
そういったわけで、あとはかっこつけずに手元をチラ見しつつ、最後まで弾きました。

しかし、おでのおかしな目線が、
みなさんに強いインパクトを与えてしまったことは否めません。
だけど、後半のむつかしい部分もちゃんと弾けたんだよ、ということを、
ここで声高に報告致します。

演奏はともあれ、
友人や家族がたくさん見に来てくれて、おでは三国一の幸せものです。
みんなにチューしたい、衝動にかられましたが、
おでにチューされて一体だれが喜ぶだろうか、と寸でのところで思いとどまりました。
みなさま、本当にどうもありがとうございました。

カメラもってくからね、と言っていた、夫。
確かにカメラは持ってきてくれましたが、
写っていたのは、

CIMG1631.JPG

このようなお写真。

自分のこと以上に緊張して、写真を撮るどころじゃなかったそうです。

夫の気持ちがありがたいのと、写真がなくて残念なのとで、
本気でちょっと、泣きそうになりました。

(おしまい)

精神力のはなし [三味線]

失敗しても、動揺してはいけない。

んぎゃ~~~!!!
などと、決して叫んではいけない。

しまったー、という顔をしてもいけない。
ちっ、と舌打ちもいけない。
てへっ、とべろを出してもいけない。

けろっとしていればよい。

そして、すぐに忘れてしまうのがよい。

くよくよしたら、また失敗する。



↑おでが考えた、舞台の心構え。



深い、これは実に深い!

人生教訓的なものにも通じる、といえなくもない!



でも、

はりきってブログに書いてみたら、そうでもないとわかった。



ブログって、便利だね。


(おしまい)


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夫に隠すはなし [三味線]

三味線の先生が、初舞台のお祝いをくれた。

こまいれ.JPG こま入れ。

「ささやかなものだけど」
と先生は言ったが、『初舞台のお祝い』というのが嬉しかった。
「あ~、おでは本当に初舞台に立つんだな~」、
ぷしゅーと鼻血が噴出しそうなほど、テンションが上がった。
さすが、長年たくさんのお弟子を指導してきたおひとだ。
うまい!

現実的なはなし、こま入れを買わなきゃいかんと思っていたので、
本気でとてもありがたい。
こま入れというのは、要するに、こまを入れるための道具。

こまいれ2.JPG こうやって、こまを入れる。

こま、というのは、

こま.JPG これのこと。

こまを床に置きっぱなしにして踏み潰した過去を持つ、おでには絶対必要だと思っていた。
だいたい、こまは小さいのでなくしがちだ。
でも、なくさないようにと大事にしまいこんだりしたら、
今度はどこにしまったか分からなくなるに決まっている。
そういったわけで、今は楽譜をおくための台に必ず置くことにしている。
練習用のこまだから、失くしさえしなきゃいいので。

だけど、

あいつは違う。
舞台用に購入した、象牙のこま。
おでは、買ったときに入っていた箱のまま大事にしまっている。
そして、時々箱をあけて無事を確認している。
先生がお祝いに「こま入れ」を選んだのは、たぶん、
おでが象牙のこまの繊細な作りにビビリまくっていた姿を見たからだと思われる。
「壊す、こんなん、ぜったい壊す…」
うつろな目でつぶやくおでに、
「だいじょぶよ~」
と笑っていたが、
「でも、一回使っただけで壊れたりもするからね~」
脅すようなことを言って、更にビビらせた責任を感じていたのかもしれない。

おでは早速、いただいたこま入れに象牙のこまをしまい、
夫の目の届かない場所に隠した。
三味線道具にやたら興味を示す、夫のことだ、
ぜったい「みせてみせてみせて」と触りたがる。
そして、ぜったい壊す。

いや、本当の理由は別にある。

こんなに小さくて、どうってことないものに見えるこまだけど、
実は、いちまんごせんえんもする、
ということを、夫に隠しているからです。

(おしまい)

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我輩は猫である。名前はまだない。 [三味線]

けーす.JPG
この、無骨なケースのなかに、鎮座ましますのは、



ひらいたけーす.JPG
猫皮三味線。



元は祖母が使っていた、ぼろぼろ三味線。
古いけど悪くない品なので、三味線屋さんにお願いして、
猫の皮を張ってもらった。



おもて.JPG
おもてと、



うら.JPG
うらに。



三味線の皮についている、黒いぽちぽち。
これは、猫のアレ。
哺乳類のお腹部分についている、アレ。
これを見ると、「あー、ほんとに猫なんだー」と思う。



ぶたいよう.JPG
哺乳類なんだー。



猫の皮は破れやすいらしい。
破れにくくするには、たくさん弾くのがいいそうだ。
音を響かせることで皮がなめらかになって、丈夫になるとのこと。
「たくさんたくさん、弾いてやってください。」
愛猫を送り出す飼い主のようなことを、三味線屋さんが言うので、
ほんとに猫なんだー、とますます思う。

「雨の日はエアコンを使って、湿気をとってやってください。」
そりゃ贅沢な猫だな~、とつっこみたくなるところだが、
三味線屋さんも三味線の先生も真面目な顔をしているので、おでも真剣にうなずく。

「お稽古した後は、必ず和紙のふくろとビニール袋で二重につつんで、
さらに布袋にしまってから、ケースに入れて下さい。」
え~、めんどくさ~、というおでの心の声が聞こえたのか、
「猫の皮は本当に破れやすいので。」
とたたみかけられ、あわててうなずく。

「これから一週間は、しっかり弾いてやってください。」
三味線屋さん曰く、皮を張ってから一週間が重要なのだそう。
ここでちゃんと弾いてやれば、皮が安定するとのこと。
でも~、明日は飲み会だから弾けません~、
と本当のことを言える雰囲気ではないので、
わかりました、と神妙にお答えする。

「ハードケースに入っていても、ぶつけたり落としたりしたら壊れますから、
大事に運んでやってください。」
わかりました、決してぶつけません。
命に変えても守り抜く、固い決意で稽古場を後にし、
三味線ケースを抱きかかえて、どうにか無事に家に到着。

デリケートな三味線の持ち主になったからには、
大事に手入れしていく責任がある。
皮になった猫のためにも、ちゃんとせねば。

早速、いつもより高めの調弦で弾き始めた、おでの目の端に見えたのは、



さみー.jpg
練習用三味線、サミー・チェン。



サミー・チェンさんは、犬の皮でできている。
同じ、哺乳類なのだった。
でも、犬の皮は猫より厚くて丈夫なので、三味線屋さんの注意もゆるかったし、
何よりサミー・チェンさんはだいぶお安かったので、
最近、扱いがめちゃ雑になっている。

ゴメンね、サミー・チェン。
申し訳ないけど、今日は許してちょうだいな。

というわけで、



きねん1.JPG
記念撮影♪

きねん2.JPG
もう一枚♪♪



(おしまい)

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セキララな着物問題 [三味線]

11月に発表会がある。
それはそれは楽しみなのだけど、
問題は、きもの。

「洗えるやつでいいスか?」

今日、先生に聞いてみた。
「一見してわからなければ、いいよ。」
と言ってくれた。
おで基準で考えたら、ネットで売ってる一万円のやつも、
呉服屋で誂えた百万円のやつも同じなので、
一万円で充分ということか!、と一瞬よろこんだのだけれども、
ぜったい、ちがう…。
着物ツウ揃いの長唄の皆様には、100メートル先からでもわかるに違いない。

着付け問題も発生した。

発表会前に、着物姿で三味線を弾くのに慣れておいた方がいいというわけで、
10月あたりからのお稽古は、着物でやるのが望ましい。
お稽古のたびに、美容院とかで着付けしてもらうわけにはいかないので、
自分で着ることになる。
ぐずぐずの着物姿で稽古場に通う、自分を想像するとかわいそうで泣きそう。

「これからは、家で浴衣を着て過ごしたらいいよ。」

だんだん顔が青ざめていく、おでに先生はやさしくおっしゃったが、
そういえば、おでは浴衣すら持っていなかった。
いっそ、ジーンズで発表会に出て、パンクな精神を長唄とともにご披露するぜ、おでは。
とか、考えたけど、
そんなことしたら即破門だろうね、ははは。

座布団のふさをぐるぐる指に巻きつけ、思考停止状態におちいったおでに、

「着付けは、お稽古ついでにアタシが教えるよ。」

ありがたい、実にありがたいが、
着付けを教えてもらうにも、まず着物がなくてはラチが明かない。

「さんじゅうまんえん…、」

不気味につぶやく、おでに先生がびびる。

「30万円で、一式かえますか?」

ちなみに30万円とはおでの口座残高。
んんんん~、と唸る先生の姿をみて、わかった。

どうやら、おではアコムに行かないといけない。

つか、この30万円は発表会で弾く、ばあさん譲りの三味線を直して、猫の皮を張るための予算。
着物代を、すべてアコムにお願いするとすると、
一体おでのご利用額はいくらになるのか。
それは、計画的なご利用を超えているのではないか。
おでのキケンなほど暗い様子を心配してか、めずらしく玄関先まで送ってくれた先生に、
「ごめんくださいませ」とお辞儀して稽古場を後にし、
幽霊ばりにどんよりと、火の玉とともに帰宅したところへ、
母から電話。

「アンタ、三味線のリサイタルやるんだって?」

話がでかくなっている。
おでは一門の発表会で、他のお弟子と一緒に一曲弾くだけだ。

「アタシの着物、あげるけど?」

きゃー、やはり、持つべきものは、母!!!
つか、母は誰でも持ってるけど。

「あー、でも横幅がダメかー。」

上がった気分を一気に落とされる。
そうだった…、母は70キロの巨体。
おでが母の着物を着るには、肉襦袢並みの補正が必要だ。

もういい、もういいんだ…、
おでは、アコムで、非計画的なご利用を…、

「とりあえず今度の連休あたり、こっちに帰ってきな。
安くていいやつ見立ててやるから。」

アタシが買ってやるとは言わなかったが、
10年に一度あるかないかの母の愛にふれ、
じ~んと感動。

ありがとありがと、
と、電話を切って、はっとする。
うちの母は、金銭感覚がめちゃめちゃだということを忘れていた。
おかんの言う、「安くていいやつ」とは、
おでの思う、「めちゃ高くて、そんだけ払ったら当たり前にいいやつ」だ。

アコム……。

次回からこのブログ、
「節約!一ヶ月で3万円日記」とタイトルを変更して、
再スタートするかもしれません(涙)。
乞うご期待(号泣)。

(おしまい)

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寝るはなし [三味線]

夏休みで一週間、旅行していた。

出発前、荷物に三味線を入れようとしたのだが、
それはやめなさい、と夫にたしなめられた。
一週間もの間まったく三味線に触れなかったら、
おでは、ぜったい、

ぜんぶ忘れちゃうんだー。あーーーー。

と、病院行ったほうがいいくらい重度の不安に襲われ、大騒ぎの出発だったが、
飛行機に乗ったら、旅気分が盛り上がり、
けっきょく、三味線のことなど旅行中は一秒も考えずに、
わははははわははははわははははと楽しく過ごして、昨夜帰宅。

さて、一週間ぶりの三味線である。

結果、ぜんぶ忘れてはいなかった。
一週間あたためたおかげで、あら不思議、前より上手になってるじゃない~~、
という夢のようなことはなかったが、
思ったより下手にはなっておらず、ひとまず安心。

一週間のブランクを埋めようと、シャンシャン弾く。

三味線の音がすきだ。
だいすきだ。
うふふふふうふふふふうふふふふふふ

久しぶりのお稽古は楽しかった。
あー、楽しい楽しいなー、楽しいなーと弾いているうち…、

寝た。

起きたらあたりは暗くなっていた。

ここは、どこだ!

びっくり寝ぼけた、おでに夫が、
気持ちよさそうに寝てたからそのままにしといた、と言う。

めちゃめちゃ気持ちよかった、実際。
実は、三味線を弾きながら寝てしまったのは、これが初めてではなく、
3回目。

たぶん、ひとがリラックスしたときに脳からでる、なんとか波のせいではないかと思う。
文楽を観てる時に無性に眠くなるときがある、あれも、
三味線の音がなんとか波をださせるからではないかと思っている。

この上なく気持ちがいい眠りなので、
それは悪くないのだけど、
すとんと落ちるように眠ってしまうのがよくない。
いつか、三味線こわすのではないかと、若干心配だ。


以下、旅行のお写真ちょっとだけ。


うちこざ.JPG ←愛媛の内子座


かなまるざ.JPG ←香川の金比羅歌舞伎、金丸座


なりたや.JPG 

↑金比羅さんの参拝道で発見した、めちゃ若い海老蔵のお写真


(おしまい)


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